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METHOD

1-1 現場ヒアリングPHASE 1 現状把握・調査段階 L0 → L2(半自動)L2 半自動

現状把握は AI のクロールから始める。人に聞くのは判断と困りごとだけ【業務フロー・指示文付き】

ANSWER — この記事の答え

変わるのは「ヒアリングの回数」ではなく「AI が先に社内データを読み、人には判断と困りごとだけを聞くこと」です。

AI 化の支援は、目の前の小さい業務を自動化して終わりがちです。先にアカウントを発行してもらい、AI に社内データを読ませてから、経営と現場に判断と困りごとを聞き、近い業界の事例を合わせて仮リストを作ります。コンサルファームで実走し、人材紹介会社でも同じ手順で進めています。

この記事で得られること
  • 現状把握を「資料をもらって読む」から「AI に社内データを読ませ、人には判断と困りごとだけを聞く」に変える設計
  • クロール・ヒアリング・他社事例の3つの出どころを掛け合わせ、人の判断を3回に固定する考え方
  • 業務フローと AI への指示文(設計用プロンプト)で、自社の現状把握を同じ形に組み替える手順

下の「AI への指示文」を Claude に貼ると、業務フローを踏まえて、自社向けの設計を質問しながら組み立てられます。

業務フローと AI への指示文

この記事の業務フロー(To-Be)と、自社向けに設計を組み立てる AI への指示文を無料でお渡しします。右の3つを入れると、ダウンロードのボタンが出ます。

  • 業務フロー(To-Be)工程ごとの人/AI/データの担当と、人が判断する場所
  • AI への指示文(設計用プロンプト)業務フロー入り。Claude に貼ると、自社向けの設計を質問しながら組み立てます

いただいた情報は、配布物に関するご連絡と Zeyra からのご案内にだけ使います(プライバシーポリシー)。

01結論:何が変わるのか

変わるのは「ヒアリングの回数」ではなく「AI が先に社内データを読み、人には判断と困りごとだけを聞くこと」だ。As-Is では、支援者がもらった資料を読み、聞けた困りごとから手をつける。読める範囲は資料と記憶に限られ、全体像は支援者の頭の中にしか残らない。だから目の前の小さい業務を自動化して満足し、導入して終わる。To-Be では、初日にアカウントを発行してもらい、AI がドライブ・チャット・タスク・DB を読んで、フォルダ構造・つながり・欠け・候補の種を出典付きで出す。人は経営者と現場に判断と困りごとを聞き、AI が調べた近い業界の事例と合わせて仮リストを作る。3週目に共有して優先順位を議論し、最初の一手は点数の高さではなく「そこを変えれば全部が変わる」中枢度で決める。コンサルファームでは CRM が最初の一手になった。

太田 壮哉
太田 壮哉の実践アドバイス

よくある AI 化の支援は、枝葉のところだけで終わります。業務全体・会社全体を読んだうえで AI 前提に作り直さないと、みんなが使えるようにならず、導入して終わってしまいます。ただし AI のクロールだけでは足りないものが必ずあります。完璧に情報が整えられている会社は多くないので、人が抱えている生の情報をヒアリングで補強してください。アクセス権が詰まると全部が止まるので、アカウントの確認は初日にやります。

定例にかける人の時間
週1時間
支援の報告形式として週1回。ヒアリングは2〜3回で、その間に AI がクロールする
仮リストを共有するタイミング
3週目
ヒアリングと AI の調査をひっくるめた仮アウトプットを出し、優先順位を議論する
社内環境の確認にかけた期間
1週間
コンサルファームでアカウントを受け取ってから、社内データを読み終えるまで
ヒアリングの回数
3回
人材紹介会社では、キックオフ・CA統括・RA責任者の3回。週次の定例に合わせて1部署ずつ
初版の AI 化リストの候補数
24件
コンサルファーム。起票者の出どころは社員・経営ヒアリング・AI 調査・他社事例
人が判断する回数
3回
クロールの範囲/リストへの追記/最初の一手。スキルが OK を待つ位置

02出来上がったもの

AI化リストのアウトプットイメージ(WHAT/HOW/IMPACT/NEXT・Tier)
AI化リストのアウトプットイメージ(WHAT/HOW/IMPACT/NEXT・Tier)

画面は社名・個人情報・金額を伏せるためぼかしています。

03AI 化の進め方、6つのフェーズ

大手と中小で中身は違っても、進め方の順番はどの会社でも同じです。フェーズごとに「目指す状態」と「実行内容」を置き、塗りがこの事例の位置。

PROCESS―AI 化の進め方
フェーズ
PHASE 1
現状把握・調査
PHASE 2
洗い出し・整理
PHASE 3
基盤整備
PHASE 4
業務AI化
PHASE 5
標準化・落とし込み
PHASE 6
定着・改善
目指す状態
改善余地が明確化
優先順位が決定
AIデータ基盤整備
AI前提業務に変革
現場が使える
改善自走と横展開
実行内容
1-1 現場ヒアリング1-2 AI によるクロール(社内データ)1-3 類似事例調査
2-1 AI化リストの洗い出し2-2 優先順位付け(ROI×難易度)2-3 ロードマップ作成
3-1 置き場・命名・判断者の設計(会社OS)3-2 CRM・マスタの再設計3-3 データ蓄積の運用開始
4-1 暗黙知の抽出(ハイプレイヤーの型化)4-2 最初の1本の構築(判断ゲートの設計)4-3 周辺業務への展開4-4 計測と調整
5-1 マニュアル・テンプレ化5-2 研修(推進役→現場)5-3 現場が触れる形にする(アプリ化)
6-1 振り返り(週次・月次)6-2 改善・型の更新6-3 他領域への展開
この事例のフェーズと、やった実行内容

04全社の業務フローのどこを AI 化したか

全社の仕事は6つのカテゴリーに分けられます。この業務が扱うのは、「業務改善・AI化」の4つのステップのうち X-41(現状把握) です。

MANAGEMENT FLOW―全社の業務フロー
工程
STEP 1
戦略設計
STEP 2
組織・情報基盤
STEP 3
会議・情報共有
STEP 4
業務改善・AI化
STEP 5
教育・定着
STEP 6
経営管理
中でやること
1-1 経営目標設定1-2 MVV策定1-3 中期計画策定1-4 重点テーマ決定
2-1 組織・役割設計2-2 置き場・命名ルール設計2-3 CRM・マスタ設計2-4 判断者・完了条件定義
3-1 会議設計3-2 録音・議事録作成3-3 タスク展開3-4 社内共有
4-1 現状把握4-2 AI化リスト作成4-3 優先順位決定4-4 パイロット構築
5-1 推進役育成5-2 マニュアル・テンプレート整備5-3 研修実施5-4 現場展開
6-1 数値集計6-2 経営レポート作成6-3 経営会議運営6-4 振り返り・次期目標設定
この業務で AI 化した工程・項目

05効率化の段階

この業務は L0(手作業)から L2(半自動) へ。社内データを読む工程と他社事例の調査が AI に移り、人は範囲を決める・追記を確認する・最初の一手を決める、の3回の判断とヒアリングだけになりました。

LEVEL―効率化の段階 L0〜L4
L0手作業人
L1AI補助人がチャットに貼る
L2半自動人がコマンドで起動
L3自動実行検知・時刻
L4自走先方が自分で直す
▲As-Is
▲To-Be(今ここ)

06Before(As-Is):支援者が資料をもらって読み、聞けた困りごとから手をつける

スキルを使わない、よくある AI 化支援の進め方を同じ7工程に並べました。読める範囲はもらった資料と聞けた話だけで、全体像は支援者の頭の中にしか残りません。

手作業AI が自動実行人の判断ゲートデータ置き場手戻り列の並び: 人 → AI → データ・システム/行は工程(上から下へ)
人 AI データ・システム 推進役 現場 AI システム 01 アカウント発行 02 クロール 03 経営ヒアリング 04 現場ヒアリング 05 他社事例 06 仮リスト 07 優先順位 資料を依頼する 必要なものをその都度頼む 資料を探して送る 担当者が手元のものを集める 社内ツール 外からは読めない 資料を読む もらった範囲だけ。全体は見 えない 経営者に聞く 課題とやりたいこと 経営者が答える 思い出せる範囲で 現場に聞く 日程が合わず計画倒れになり やすい 現場が答える 目の前の面倒な作業を挙げる 経験から挙げる 支援者の記憶に頼る 聞いた範囲で作る どこから出た候補かが残らな い 候補の一覧 出典の列がない 判断 困りごと順に決める 目の前の小さい業務から 合意する 枝葉の自動化で終わりやすい 依頼 資料 合意 探す 答える 答える 書く この時点で AI は入っていない 事例は支援者の記憶の範囲
読めるのは、もらった資料と聞けた話だけ。全体像は支援者の記憶にしか残らず、目の前の小さい業務から手をつけることになる

07After(To-Be):AI が先に社内データを読み、人は判断と困りごとだけを聞く

同じ7工程のまま、資料を読む工程と他社事例の調査を AI に移しました。ヒアリングは人のままです。3つの出どころを掛け合わせて仮リストを作り、3週目に共有します。

人 AI データ・システム 推進役 現場 AI システム 01 アカウント発行 02 クロール 03 経営ヒアリング 04 現場ヒアリング 05 他社事例 06 仮リスト 07 優先順位 初日に依頼する 読み取り用のアカウントを頼 む アカウントを発行 重要な入力データに届くよう に 読めるかを確認 1件ずつ読む。読めないもの は未取得で先へ 社内ツール ドライブ・チャット・タスク ・DB 判断 1 範囲を決める 期間と対象。深掘り先を選ぶ 自動 社内データを読む 構造・つながり・欠け・候補 の種を出典付きで クロール要約 生データは写さない 経営者に聞く 1年後の状態・内製化したい 力 経営者が答える 課題とやりたいこと 議事録 発言を日付つきで残す 定例で1部署ずつ 事前記入表を渡し、当日は深 掘りだけ 現場が答える 理想・情報の所在・最初の一 手 記入表 1業務1行 自動 近い業界を調べる 業界のカタログと Web 調査 事例シード 業界ごとのカタログ 判断 2 追記前に確認する 追加する行を表で見る 3つの出どころを統合 重複は既存行に出典を足す AI化リスト 起票者=出どころ 3週目に共有する 仮アウトプットを出して議論 する 判断 3 最初の一手を決める 点数ではなく中枢度で ROI×難易度で採点 中枢度はレーン分けに使う 依頼 発行 範囲 聞く 聞く 追加行を提示 採点表 共有 1件読む 要約を保存 議事録 記入 参照 追記 読む 事例調査に先方の作業はない
人に残るのは、範囲を決める・追記を確認する・最初の一手を決める、の 3回の判断 とヒアリング。クロールと事例調査は AI
先方の社内データを AI に読ませる前に確認すること
  • 読み取り用のアカウントの範囲と期間を先方と合意し、契約・NDA に AI の利用(サービス名・学習の有無・保存先)を書く
  • AI に読ませるのは、入力を学習に使わない契約のサービス(法人プランか API)に限る
  • クロールの結果には要約と出典だけを残し、候補者・顧客の個人情報や金額の明細は写さない

社内データのクロール+ヒアリングを AI 化する手順

  1. アカウント発行:読めるかを確認:1件ずつ読む。読めないものは未取得で先へ
  2. クロール:社内データを読む:構造・つながり・欠け・候補の種を出典付きで
  3. 経営ヒアリング:経営者に聞く:1年後の状態・内製化したい力
  4. 現場ヒアリング:定例で1部署ずつ:事前記入表を渡し、当日は深掘りだけ
  5. 他社事例:近い業界を調べる:業界のカタログと Web 調査
  6. 仮リスト:3つの出どころを統合:重複は既存行に出典を足す
  7. 優先順位:ROI×難易度で採点:中枢度はレーン分けに使う

08工程ごとの担当の変化

7工程の形は変えず、資料を読む工程と事例調査を AI に移しました。ヒアリングは人のままです。人に残る判断は 範囲・追記・最初の一手 の3回です。

ROLE SHIFT―工程ごとの担当の変化
工程As-Is 誰が・どうTo-Be 誰が・どう
01アカウント発行
手作業

必要な資料をその都度頼み、担当者が探して送る。外から社内ツールは読めない

→
AI が自動

初日に読み取り用のアカウントを発行してもらい、AI が各ツールを1件ずつ読んで可否を確認する

02クロール
手作業

もらった資料を支援者が読む。全体は見えず、読んだ結果は頭の中に残る

→
AI が自動

AI がドライブ・チャット・タスク・DB を読み、構造・つながり・欠け・候補の種を出典付きで要約する

03経営ヒアリング
手作業

課題とやりたいことを聞く

→
手作業

1年後の状態・内製化したい力・外に任せたくないことを聞き、議事録に日付つきで残す

04現場ヒアリング
手作業

日程が合わず計画倒れになりやすい

→
手作業

週次定例で1部署ずつ。事前記入表(1業務1行)を渡し、当日は深掘りだけにする

05他社事例
手作業

支援者の経験と記憶から挙げる

→
AI が自動

AI が業界ごとのカタログと Web 調査で近い業界の事例を集める。事例は候補の補強に使い、主役にしない

06仮リスト
手作業

聞いた範囲で作る。どこから出た候補かが残らない

→
人の判断

AI がクロール・ヒアリング・他社事例の3つを統合し、起票者に出どころを残す。追記前に追加行を表で見せる

07優先順位
手作業

困りごと順に決め、目の前の小さい業務から手をつける

→
人の判断

AI が ROI×難易度で採点。3週目に仮アウトプットを共有し、最初の一手は中枢度で決める

09設計のポイント

01

人の判断は3回に固定する

  1. 判断1 クロールの範囲: 期間と対象、深掘りする場所を決める。読めないソースは「誰に何を頼めば読めるか」を書いて先へ進む
  2. 判断2 リストへの追記: AI が追加予定の行を表で見せ、OK が出てから書く。既存の行は消さず、重複は出典を足す
  3. 判断3 最初の一手: 点数の高さではなく「そこを変えれば全部が変わる」中枢度で決める。先方の経営と一緒に決める
02

AI の外に残るもの

  1. ヒアリングそのもの。AI のクロールだけでは足りない生の情報を、経営者と現場から聞く
  2. アカウントの発行。先方が読み取り用に出す。ここが詰まると全部が止まるので初日に確認する
  3. 生データの転記。クロールは要約と出典だけを残し、候補者・顧客の個人情報や金額の明細は写さない
03

役割の移動

  1. 支援者: 資料を読む人 → 範囲を決めて聞く人。読んだ結果が頭の中ではなく要約として残る
  2. AI: チャットに貼る道具 → 社内ツールを自分で読み、候補の種を出典付きで出す担当
  3. 先方: 資料を探して送る → アカウントを発行し、定例で1部署ずつ答える
04

次の分岐

  1. 読めないソースが残ったら、候補の種は「未取得」のまま進め、依頼先を書いて次の定例で解消する
  2. 現場ヒアリングが計画倒れになるなら、週次定例の後半20分で1部署ずつに固定する
  3. 次の段階(L3・候補)は、先方の推進役が自分の環境でクロールを回し、支援側はレビューだけになる状態

11まとめ

  • 現状把握は、資料をもらって読むのではなく、アカウントを発行してもらって AI に読ませるところから始める
  • クロール・ヒアリング・他社事例の3つを掛け合わせ、人の判断は範囲・追記・最初の一手の3回に固定する
  • 最初の一手は点数ではなく中枢度で決める。枝葉の自動化で終わらせない

この記事を書いた人

太田 壮哉
太田 壮哉Zeyra株式会社 代表

採用・組織人事のコンサルで200社以上、AI系ブティックファームで事業責任者。いまは AI 前提の組織設計を、自社で回しながらクライアントに提供している。

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