METHOD
現状把握は AI のクロールから始める。人に聞くのは判断と困りごとだけ【業務フロー・指示文付き】
変わるのは「ヒアリングの回数」ではなく「AI が先に社内データを読み、人には判断と困りごとだけを聞くこと」です。
AI 化の支援は、目の前の小さい業務を自動化して終わりがちです。先にアカウントを発行してもらい、AI に社内データを読ませてから、経営と現場に判断と困りごとを聞き、近い業界の事例を合わせて仮リストを作ります。コンサルファームで実走し、人材紹介会社でも同じ手順で進めています。
- 現状把握を「資料をもらって読む」から「AI に社内データを読ませ、人には判断と困りごとだけを聞く」に変える設計
- クロール・ヒアリング・他社事例の3つの出どころを掛け合わせ、人の判断を3回に固定する考え方
- 業務フローと AI への指示文(設計用プロンプト)で、自社の現状把握を同じ形に組み替える手順
下の「AI への指示文」を Claude に貼ると、業務フローを踏まえて、自社向けの設計を質問しながら組み立てられます。
業務フローと AI への指示文
この記事の業務フロー(To-Be)と、自社向けに設計を組み立てる AI への指示文を無料でお渡しします。右の3つを入れると、ダウンロードのボタンが出ます。
- 業務フロー(To-Be)工程ごとの人/AI/データの担当と、人が判断する場所
- AI への指示文(設計用プロンプト)業務フロー入り。Claude に貼ると、自社向けの設計を質問しながら組み立てます
01結論:何が変わるのか
変わるのは「ヒアリングの回数」ではなく「AI が先に社内データを読み、人には判断と困りごとだけを聞くこと」だ。As-Is では、支援者がもらった資料を読み、聞けた困りごとから手をつける。読める範囲は資料と記憶に限られ、全体像は支援者の頭の中にしか残らない。だから目の前の小さい業務を自動化して満足し、導入して終わる。To-Be では、初日にアカウントを発行してもらい、AI がドライブ・チャット・タスク・DB を読んで、フォルダ構造・つながり・欠け・候補の種を出典付きで出す。人は経営者と現場に判断と困りごとを聞き、AI が調べた近い業界の事例と合わせて仮リストを作る。3週目に共有して優先順位を議論し、最初の一手は点数の高さではなく「そこを変えれば全部が変わる」中枢度で決める。コンサルファームでは CRM が最初の一手になった。
よくある AI 化の支援は、枝葉のところだけで終わります。業務全体・会社全体を読んだうえで AI 前提に作り直さないと、みんなが使えるようにならず、導入して終わってしまいます。ただし AI のクロールだけでは足りないものが必ずあります。完璧に情報が整えられている会社は多くないので、人が抱えている生の情報をヒアリングで補強してください。アクセス権が詰まると全部が止まるので、アカウントの確認は初日にやります。
02出来上がったもの

画面は社名・個人情報・金額を伏せるためぼかしています。
03AI 化の進め方、6つのフェーズ
大手と中小で中身は違っても、進め方の順番はどの会社でも同じです。フェーズごとに「目指す状態」と「実行内容」を置き、塗りがこの事例の位置。
04全社の業務フローのどこを AI 化したか
全社の仕事は6つのカテゴリーに分けられます。この業務が扱うのは、「業務改善・AI化」の4つのステップのうち X-41(現状把握) です。
05効率化の段階
この業務は L0(手作業)から L2(半自動) へ。社内データを読む工程と他社事例の調査が AI に移り、人は範囲を決める・追記を確認する・最初の一手を決める、の3回の判断とヒアリングだけになりました。
06Before(As-Is):支援者が資料をもらって読み、聞けた困りごとから手をつける
スキルを使わない、よくある AI 化支援の進め方を同じ7工程に並べました。読める範囲はもらった資料と聞けた話だけで、全体像は支援者の頭の中にしか残りません。
07After(To-Be):AI が先に社内データを読み、人は判断と困りごとだけを聞く
同じ7工程のまま、資料を読む工程と他社事例の調査を AI に移しました。ヒアリングは人のままです。3つの出どころを掛け合わせて仮リストを作り、3週目に共有します。
- 読み取り用のアカウントの範囲と期間を先方と合意し、契約・NDA に AI の利用(サービス名・学習の有無・保存先)を書く
- AI に読ませるのは、入力を学習に使わない契約のサービス(法人プランか API)に限る
- クロールの結果には要約と出典だけを残し、候補者・顧客の個人情報や金額の明細は写さない
社内データのクロール+ヒアリングを AI 化する手順
- アカウント発行:読めるかを確認:1件ずつ読む。読めないものは未取得で先へ
- クロール:社内データを読む:構造・つながり・欠け・候補の種を出典付きで
- 経営ヒアリング:経営者に聞く:1年後の状態・内製化したい力
- 現場ヒアリング:定例で1部署ずつ:事前記入表を渡し、当日は深掘りだけ
- 他社事例:近い業界を調べる:業界のカタログと Web 調査
- 仮リスト:3つの出どころを統合:重複は既存行に出典を足す
- 優先順位:ROI×難易度で採点:中枢度はレーン分けに使う
08工程ごとの担当の変化
7工程の形は変えず、資料を読む工程と事例調査を AI に移しました。ヒアリングは人のままです。人に残る判断は 範囲・追記・最初の一手 の3回です。
必要な資料をその都度頼み、担当者が探して送る。外から社内ツールは読めない
初日に読み取り用のアカウントを発行してもらい、AI が各ツールを1件ずつ読んで可否を確認する
もらった資料を支援者が読む。全体は見えず、読んだ結果は頭の中に残る
AI がドライブ・チャット・タスク・DB を読み、構造・つながり・欠け・候補の種を出典付きで要約する
課題とやりたいことを聞く
1年後の状態・内製化したい力・外に任せたくないことを聞き、議事録に日付つきで残す
日程が合わず計画倒れになりやすい
週次定例で1部署ずつ。事前記入表(1業務1行)を渡し、当日は深掘りだけにする
支援者の経験と記憶から挙げる
AI が業界ごとのカタログと Web 調査で近い業界の事例を集める。事例は候補の補強に使い、主役にしない
聞いた範囲で作る。どこから出た候補かが残らない
AI がクロール・ヒアリング・他社事例の3つを統合し、起票者に出どころを残す。追記前に追加行を表で見せる
困りごと順に決め、目の前の小さい業務から手をつける
AI が ROI×難易度で採点。3週目に仮アウトプットを共有し、最初の一手は中枢度で決める
09設計のポイント
人の判断は3回に固定する
- 判断1 クロールの範囲: 期間と対象、深掘りする場所を決める。読めないソースは「誰に何を頼めば読めるか」を書いて先へ進む
- 判断2 リストへの追記: AI が追加予定の行を表で見せ、OK が出てから書く。既存の行は消さず、重複は出典を足す
- 判断3 最初の一手: 点数の高さではなく「そこを変えれば全部が変わる」中枢度で決める。先方の経営と一緒に決める
AI の外に残るもの
- ヒアリングそのもの。AI のクロールだけでは足りない生の情報を、経営者と現場から聞く
- アカウントの発行。先方が読み取り用に出す。ここが詰まると全部が止まるので初日に確認する
- 生データの転記。クロールは要約と出典だけを残し、候補者・顧客の個人情報や金額の明細は写さない
役割の移動
- 支援者: 資料を読む人 → 範囲を決めて聞く人。読んだ結果が頭の中ではなく要約として残る
- AI: チャットに貼る道具 → 社内ツールを自分で読み、候補の種を出典付きで出す担当
- 先方: 資料を探して送る → アカウントを発行し、定例で1部署ずつ答える
次の分岐
- 読めないソースが残ったら、候補の種は「未取得」のまま進め、依頼先を書いて次の定例で解消する
- 現場ヒアリングが計画倒れになるなら、週次定例の後半20分で1部署ずつに固定する
- 次の段階(L3・候補)は、先方の推進役が自分の環境でクロールを回し、支援側はレビューだけになる状態
11まとめ
- 現状把握は、資料をもらって読むのではなく、アカウントを発行してもらって AI に読ませるところから始める
- クロール・ヒアリング・他社事例の3つを掛け合わせ、人の判断は範囲・追記・最初の一手の3回に固定する
- 最初の一手は点数ではなく中枢度で決める。枝葉の自動化で終わらせない
この記事を書いた人
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