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METHOD

4-1 暗黙知の抽出(ハイプレイヤーの型化)PHASE 4 業務AI化PHASE 5 標準化・落とし込み段階 L0 → L1(AI補助)L1 AI補助

ハイプレイヤーの商談を、理由つきのスクリプトと同じ項目の採点シートに落とす【業務フロー・指示文付き】

ANSWER — この記事の答え

変わるのは「うまい人の勘」ではなく、「同じ項目で、教え方と採点が揃うこと」です。

EC系SaaS で、トップの営業の動きを「なぜ聞くのか・なぜ伝えるのか」の理由つきで項目に分け、商談スクリプトにした。同じ項目に配点を付け、ロープレと面談の採点シートにし、版を固定して管理している。差が出たのは、冒頭でゴールの合意を取れているかと、終盤で次の約束を押さえられているかだった。法人設立前に、代表が個人として受託した案件である。

この記事で得られること
  • トップの営業の動きを、フェーズ/大項目/中項目に分け、「なぜ聞くのか・なぜ伝えるのか」の理由を付けてスクリプトにする設計
  • スクリプトと同じ中項目に配点を付け、ロープレと面談の採点シートにして、教え方と採点を揃える考え方
  • 業務フローと AI への指示文(設計用プロンプト)で、自社のハイプレイヤーの商談を同じ列に落とす手順

下の「AI への指示文」を Claude に貼ると、業務フローを踏まえて、自社向けの設計を質問しながら組み立てられます。

業務フローと AI への指示文

この記事の業務フロー(To-Be)と、自社向けに設計を組み立てる AI への指示文を無料でお渡しします。右の3つを入れると、ダウンロードのボタンが出ます。

  • 業務フロー(To-Be)工程ごとの人/AI/データの担当と、人が判断する場所
  • AI への指示文(設計用プロンプト)業務フロー入り。Claude に貼ると、自社向けの設計を質問しながら組み立てます

いただいた情報は、配布物に関するご連絡と Zeyra からのご案内にだけ使います(プライバシーポリシー)。

01結論:何が変わるのか

変わるのは「うまい人の勘」ではなく「同じ項目で、教え方と採点が揃うこと」だ。As-Is では、ハイプレイヤーの流れは本人の頭の中にあり、なぜそこで聞くのかは語られない。ロープレの評価は見る人の印象で、スクリプトと採点は別物になる。To-Be では、商談を事前準備からクロージングまでのフェーズ/大項目/中項目に分け、項目ごとに「なぜ聞くのか・なぜ伝えるのか」を書いてトークにする。同じ中項目に配点を付けて採点シートにし、版を固定して管理する。人が決めるのは 何を標準にするか(判断1) と ロープレの採点(判断2) の2回。AI は録画の分析を手伝うが、何を項目にするかは、その業界の知識を持つ人が決める。

太田 壮哉
太田 壮哉の実践アドバイス

差が出るのは、話のうまさではありません。オープニングでその日のゴールに合意を取れているか、クロージングで押さえるべきことを押さえられているか、でした。うまく話しているようで終わる商談が一番の差で、採点シートのオープニングとクロージングの項目が、この差に対応します。

人が判断する回数
2回
何を標準にするか(差が出る動きを選ぶ)と、ロープレの採点。項目・理由・配点を書くのは人の作業
商談スクリプト1行の列
7列
フェーズ/大項目/頁/配分(分)/中項目/なぜ伝えるのか・なぜ聞くのか/トーク
商談の並び
6 フェーズ
事前準備 → アイスブレイク → プロービング → オープニング → サポーティング → クロージング

03AI 化の進め方、6つのフェーズ

大手と中小で中身は違っても、進め方の順番はどの会社でも同じです。フェーズごとに「目指す状態」と「実行内容」を置き、塗りがこの事例の位置。

PROCESS―AI 化の進め方
フェーズ
PHASE 1
現状把握・調査
PHASE 2
洗い出し・整理
PHASE 3
基盤整備
PHASE 4
業務AI化
PHASE 5
標準化・落とし込み
PHASE 6
定着・改善
目指す状態
改善余地が明確化
優先順位が決定
AIデータ基盤整備
AI前提業務に変革
現場が使える
改善自走と横展開
実行内容
1-1 現場ヒアリング1-2 AI によるクロール(社内データ)1-3 類似事例調査
2-1 AI化リストの洗い出し2-2 優先順位付け(ROI×難易度)2-3 ロードマップ作成
3-1 置き場・命名・判断者の設計(会社OS)3-2 CRM・マスタの再設計3-3 データ蓄積の運用開始
4-1 暗黙知の抽出(ハイプレイヤーの型化)4-2 最初の1本の構築(判断ゲートの設計)4-3 周辺業務への展開4-4 計測と調整
5-1 マニュアル・テンプレ化5-2 研修(推進役→現場)5-3 現場が触れる形にする(アプリ化)
6-1 振り返り(週次・月次)6-2 改善・型の更新6-3 他領域への展開
この事例のフェーズと、やった実行内容

04営業の業務フローのどこを AI 化したか

営業の仕事は6つのカテゴリーに分けられます。この業務が扱うのは、「戦略設計」の4つのステップのうち S-14(営業プロセス設計) です。

SALES FLOW―営業の業務フロー
工程
STEP 1
戦略設計
STEP 2
リード獲得
STEP 3
商談準備
STEP 4
商談・提案
STEP 5
受注・契約
STEP 6
顧客フォロー
中でやること
1-1 顧客像(ICP)定義1-2 市場・競合分析1-3 提供価値設計1-4 営業プロセス設計
2-1 ターゲットリスト作成2-2 企業・担当者調査2-3 アプローチ文面作成2-4 架電・メール実行2-5 アポイント獲得
3-1 顧客・業界調査3-2 課題仮説設計3-3 商談資料作成3-4 日程調整
4-1 商談実施・記録4-2 議事録作成4-3 提案書作成4-4 見積書作成4-5 次アクション連絡
5-1 条件交渉・社内承認5-2 契約書作成・締結5-3 受注データ登録5-4 請求連携
6-1 顧客情報更新6-2 案件・売上予測6-3 定例・報告6-4 アップセル提案6-5 振り返り・コーチング
この業務で AI 化した工程・項目

05効率化の段階

この業務は L0(手作業)から L1(AI 補助) へ。AI はハイプレイヤーの商談を分析する1箱で、項目・理由・配点を決めるのは人。スクリプトと採点シートが同じ中項目で揃うことが、この業務の価値。

LEVEL―効率化の段階 L0〜L4
L0手作業人
L1AI補助人がチャットに貼る
L2半自動人がコマンドで起動
L3自動実行検知・時刻
L4自走先方が自分で直す
▲As-Is
▲To-Be(今ここ)

06Before(As-Is):型はトップの頭の中。流れも理由も言葉になっておらず、評価は見る人の印象

新しい人はトップの商談を見て覚える。なぜそこで聞くのかは語られず、言い回しは人ごとに違う。ロープレの評価は見る人次第で、資料は増え続ける。

手作業AI が自動実行人の判断ゲートデータ置き場手戻り列の並び: 人 → AI → データ・システム/行は工程(上から下へ)
人 AI データ・システム 推進役 現場 AI システム 01 トップの分析 02 項目に分ける 03 理由を書く 04 トークにする 05 配点を付ける 06 版を固定する 07 ロープレで使う 背中で見せる 同席して覚えてもらう 見て覚える 何が違うかは分からない 録画 残るが見返さない 分けない 流れは頭の中 理由は語らない なぜ聞くかは経験 各自の言い回し 人ごとに違う 配点はない できた気がする、で終わる 版がない 資料が増え続ける 資料 どれが最新か分からない 印象で評価 評価が見る人次第 ロープレする 評価の理由が残らない 見せる 見てもらう 残るだけ 増える この時点で AI は入っていない 現場に流れは渡っていない
7工程のうち、項目・理由・配点・版は存在しない。教え方と採点が別々(時間は計測していない)

07After(To-Be):同じ7工程で、トップの動きを項目・理由・トーク・配点の列に落とす。AI は分析を手伝い、決めるのは人

工程は変えていない。前半の5工程は人がやる。何を標準にするか、どの項目に理由と配点を付けるかは、その業界と商談を知る人でないと決められないからだ。AI は録画からトップの動きを書き出す1箱に限る。スクリプトと採点シートは同じ中項目で作り、版を固定する。

人 AI データ・システム 推進役 現場 AI システム 01 トップの分析 02 項目に分ける 03 理由を書く 04 トークにする 05 配点を付ける 06 版を固定する 07 ロープレで使う 判断 1 何を標準にするか 差が出る動きを選ぶ 録画を分析 トップの動きを書き出す 録画 トップの商談 項目に分ける フェーズ/大項目/中項目 理由を書く なぜ聞くのか・なぜ伝えるの か トークにする 一問一答・会話・分岐 商談スクリプト 1行に7列 配点を付ける 同じ中項目に配点 採点シート ロープレ用と面談用 版を固定する 第一版・第二版は編集禁止 固定タブ・編集中タブ 作業中は別に分ける 判断 2 採点する 評価コメントを書く ロープレする スクリプトどおりに 採点の記録 担当・日付・お題 書き出しを渡す 採点を受ける 読む 書く 書く 固定 記録 現場はスクリプトを受け取ってから 入る 項目・理由・配点は人が決める
人に残る作業は、何を標準にするかの判断・項目と理由とトークと配点を書くこと・ロープレの採点(時間は計測していない)
商談の録音・録画を AI に入れる前に確認すること
  • 録音・録画は、商談の冒頭で目的(記録の正確性・社内での振り返り)と範囲を伝え、断られたら録らない
  • 録音には相手の発言が含まれる。AI に入れるときは、入力を学習に使わない契約のサービス(法人プランか API)に限り、相手の社名・個人名は必要がなければ外す
  • 採点の対象は自社の営業担当のトーク。相手の評価や与信の判断には使わない
  • 録音の保存場所・保存期間・閲覧できる人を決め、社外に出さない

スクリプトと採点シートを AI 化する手順

  1. トップの分析:録画を分析:トップの動きを書き出す
  2. 項目に分ける:項目に分ける:フェーズ/大項目/中項目
  3. 理由を書く:理由を書く:なぜ聞くのか・なぜ伝えるのか
  4. トークにする:トークにする:一問一答・会話・分岐
  5. 配点を付ける:配点を付ける:同じ中項目に配点
  6. 版を固定する:版を固定する:第一版・第二版は編集禁止
  7. ロープレで使う:採点する:評価コメントを書く

08工程ごとの担当の変化

AI に移した工程はまだ1つ(分析の補助)。この業務の価値は スクリプトと採点シートが同じ中項目で揃う ことにあり、項目・理由・配点を決めるのは人のまま。

ROLE SHIFT―工程ごとの担当の変化
工程As-Is 誰が・どうTo-Be 誰が・どう
01トップの分析
手作業

同席して背中で見せる。何が違うかは本人も言えない

→
人の判断

AI が録画からトップの動きを書き出し、人が差が出る動きを選ぶ

02項目に分ける
手作業

流れは頭の中。分けない

→
手作業

事前準備からクロージングまでをフェーズ/大項目/中項目に分ける

03理由を書く
手作業

なぜ聞くかは経験。語られない

→
手作業

項目ごとに「なぜ聞くのか・なぜ伝えるのか」を書く

04トークにする
手作業

言い回しは人ごとに違う

→
手作業

一問一答・会話形式・分岐でトークを書く

05配点を付ける
手作業

配点はない。できた気がする、で終わる

→
手作業

スクリプトと同じ中項目に配点を付け、ロープレ用と面談用の採点シートにする

06版を固定する
手作業

版がなく、資料が増え続ける

→
手作業

第一版・第二版を編集禁止で固定し、作業中は編集中タブで分ける

07ロープレで使う
手作業

印象で評価する。評価の理由が残らない

→
人の判断

スクリプトどおりにロープレし、同じ項目で採点して評価コメントを残す

09設計のポイント

01

人の判断は2回に固定する

  1. 判断1 何を標準にするか: トップの動きのうち、差が出る部分を選ぶ。差が出たのは、オープニングでゴールの合意を取れているかと、クロージングで次の約束を押さえられているか。ここにその業界の知識を持つ人が要る
  2. 判断2 ロープレの採点: 同じ中項目で採点し、評価コメントを残す。営業担当・FB担当・日付・お題を書く欄があるので、誰がいつ何を見たかが残る
  3. 項目・理由・トーク・配点を書くのは判断ではなく作業。ただし、理由の列を省くと、現場は「なぜそうするか」を失う
02

AI の外に残るもの

  1. 商談そのもの。スクリプトどおりに進めるのは人
  2. 何を項目にするかの判断。AI の分析もあるが、標準にする部分を決めるのは、その業界の知識を持つ人
  3. 版の管理。第一版・第二版は編集禁止で固定し、作業中は編集中タブに分ける。これを崩すと、教える内容と採点が再びずれる
03

役割の移動

  1. トップ営業: 背中で見せる人 → 動きを項目と理由に分けてもらう元
  2. 育てる側: 印象で評価する人 → 同じ項目で採点し、理由つきで返す人
  3. AI: 無し → 録画からトップの動きを書き出す補助。次の段階では、同じ採点シートを入れた AI が録音から採点する
04

次の分岐

  1. 採点シートが固定できたら、同じシートを AI に入れて、録音からフィードバックが出る形にする(この案件では実施。L1 → L2)
  2. 面談(採用)の採点シートも同じ作りにして、商談と採用で評価の型を揃える
  3. 第二版への更新は、ロープレの採点で×が集まる項目から直す(候補)

11まとめ

  • トップの動きを、フェーズ/大項目/中項目に分け、「なぜ聞くのか・なぜ伝えるのか」を付けてスクリプトにする
  • スクリプトと同じ中項目に配点を付けて採点シートにする。教え方と採点が同じ項目で揃う
  • 版は固定して管理する。何を項目にするかは、AI の分析だけでなく、業界の知識を持つ人が決める

この記事を書いた人

太田 壮哉
太田 壮哉Zeyra株式会社 代表

採用・組織人事のコンサルで200社以上、AI系ブティックファームで事業責任者。いまは AI 前提の組織設計を、自社で回しながらクライアントに提供している。

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出典: 社内マニュアル・スキル本文・運用の記録(社名・固有名詞は伏せています)
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